2013年5月19日日曜日

労働生産性が高まらない終身雇用制

ワークシェアリングが労働イノベーションを起こす理由をあかす前に、終身雇用制の弊害を考えてみましょう。

終身雇用制は、入社から定年まで雇用が保障されるシステムです。

また、勤続年数に応じた昇給がある程度保証されているのもその特徴です。

「継続は力なり」を美徳とする国民性から、勤続年数を重んじる終身雇用制を採用した方が労働生産性が高まると信じられてきたのです。

しかしそれは本当なのでしょうか。

もしそれで人材力がパワーアップするのなら、なぜプロのスポーツチームでは「終身雇用制」を採用しないのでしょう。

実力が勝負のプロの世界では、レギュラー枠に入るために熾烈な生存競争が繰り広げられています。

それがもし一旦レギュラーになれれば60歳になるまでその立場が保証されるとしたら、そのチームは優勝できるでしょうか。

プロ野球の世界を見ても、40歳まで現役を続けられる選手は一握りです。

「継続は力なり」の言葉はウソだとは思いませんが、それが万人に等しい成果をもたらすはずはないのです。

立場が保証され続けるとなれば、職能を磨く努力を怠ったり、先輩風をふかせて後輩に悪影響を及ぼすような輩も出てくるものです。

何より、そういう輩に居座られていては、回転率の悪い食堂のように、空きを待っている人が迷惑します。

新卒者の就職が厳しいといわれて久しいですが、これはその若者の将来をダメにするだけでなく、人材育成のチャンスを奪うという点において労働生産性を先細りさせるデメリットももたらします。

また、正社員になれるチャンスが低まれば、非正規雇用でしか職を得られない人の数が増加します。

正社員よりも優秀な人材がいるかもしれないのに、埋もれたままで能力を発揮できない人材を増やすのも労働生産性をゆがめる温床になります。

これで我が国の労働生産性がますます弱まり、国際競争に負ければ、さらに雇用規模が縮小するという悲劇が生まれるかもしれません。

従来の労働システムの歪みを甘く見過ごしておきながら、価値観の異なる労働システムの負の面ばかりを拡大解釈するのは、新しい労働システムを創造する障害になるだけです。

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